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株式会社神明ホールディングス

代表取締役社長
藤尾 益雄

百年企業が挑み続ける米食や農業の未来
アグリフードバリューチェーンの構築へ

米穀の卸売業を中心に成長を続ける株式会社神明ホールディングス。青果物、水産品、外食分野等の多種多様な事業展開により「食のバリューチェーン構築」を目指す同社について、代表取締役社長の藤尾益雄氏が語った。

賢者の選択 出演映像

生産地から食卓までをつなぐアグリフードバリューチェーン

日本の農業を代表し、日本食文化を支えてきた米の消費量は減少傾向を続けている。米消費量のピークだった1965年は1人あたり約112㎏消費していたが、現在は年間約50㎏という状況だ。この大きな課題に事業を通じて取り組んでいるのが株式会社神明ホールディングスだ。

藤尾氏:「パン食、麺食など欧米の食習慣が定着し、食が多様化しました。また、米食は炊飯に手間がかかり、ダイエットのために敬遠されたことも米離れに影響しています。農業人口も約1千万人から130万人に減少し、高齢化も進行しています」

同社は「私達はお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します」を企業理念に掲げ、日本の農業を強くして米や野菜の自給率が高い状態を維持し、米の消費を拡大する取り組みを推進している。

藤尾氏:「米だけのビジネスから脱却し、米を根幹に据えながらも、神明グループの拡大を通して、自社グループで生産地から食卓までをつなぐ『アグリフードバリューチェーン』を構築しなければならないと考えました」

炊きたてを再現するパックご飯 米を原料にしたチーズ代替食品も

同社は米以外の農作物も含めた生産地での農業支援、食品加工や商品開発、中食・外食店舗の運営までを視野に事業の拡大を図っている。そのひとつが無菌包装米飯(パックご飯)の開発だ。

藤尾氏:「今後、自宅で炊飯する家庭が減少し、将来的には家庭から炊飯器がなくなる時代が来るのではないかと考えました。朝食に米飯を採り入れてもらうためにも、パックご飯を製造・販売するのが米穀会社の使命だと捉えたのです。また、長期保存を実現するためpH調整剤(防腐剤)を使用する製法もありますが、当社は家庭の炊きたてのご飯と同様にご飯本来の風味を活かした無添加のパックご飯を作るプロジェクトを立ち上げました」

これまで米卸売企業として培った知見を生かし、全国の米産地から米だけでなく水もおいしい場所を探し出し、富山県入善町に株式会社ウーケを設立した。

藤尾氏:「無添加で長期保存を実現するためには無菌状態で製造する必要があります。そこで、半導体工場に匹敵するNASA規格クラス100のクリーンルームを設置し、パック工程を自動化しました」
ごはん本来の風味を活かした無菌包装米飯の製造工程
黒部川扇状地湧水群の天然水を使用した無添加のパックご飯が2009年に完成し、出荷をスタート。従来品との味の違いをアピールし、徐々に取引先を増やしていった。2013年には第2ライン、2019年には第3ラインが稼働し、現在では24時間稼働で年間1億1千5百万食を出荷。今後は第4ラインの増設も検討している。 

藤尾氏:「商品も多様化し、もち麦や発芽米、こんにゃくをブレンドしたご飯も増えています。当社は『簡単おいしい玄米』を推し進めています」

また、栄養豊富な米をすべて食べきることを念頭に、米糠を食べやすく粉末状に加工した「飲める米糠」や、グルテンフリーでパンなどの加工食品に利用できる米粉製品なども商品化。餅米の粉を使用した乳製品不使用のチーズ代替食品も開発し、2022年春に発売予定だ。

きのこ、もやし、回転寿司など米や野菜の高い自給率維持が必要

同社の事業領域は米以外の分野にも幅広く及ぶ。

藤尾氏:「ご飯の友としてお米をおいしく食べていただくため、きのこ類を生産する株式会社雪国まいたけ、もやしを生産する名水美人ファクトリー株式会社をグループに招きました」

パックご飯やきのこ、もやし工場では農業に携わる方を積極的に採用し、収入の安定化にも繋がっている。さらに、農作物の安定流通に貢献する青果市場の運営も手がけており、大都市などにおける消費拡大や、農業の活性化や輸出窓口としても機能している。さらには、農作物の価格は天候に相場が大きく左右される。需要と供給の安定を図るため、NTTグループと共同でマーケットインの青果流通を目指す青果物流通DXの実証実験も行っている。

藤尾氏:「米の生産にもITを活用しています。JAXA公認企業と共同で『宇宙一おいしいお米』を目指して『宇宙ビッグデータ米』の生産を進めています。また、静岡県の自社農場に『あかふじファーム菊川ラボ』を設立し、ドローンデータなどから新品種の試験栽培・栽培方法の実証実験を重ねています」
ドローンの活用など農業の課題解決を目指す実証実験
さらに従来の米より、収量性が良くおいしいお米を実現したオリジナル品種「ふじゆたか」を開発。早生米のため収穫時期の分散にも貢献できるという。 

藤尾氏:「契約農家は買い取り価格を心配することなく、生産に専念して収益の向上を図ることができます。国内流通だけでなく、輸出も視野に取り組んでおり、農業を家業から企業に転換し、若い世代が夢を持って働ける産業に格上げしていく考えです」

同社は中国やアジア圏への輸出も積極化しており、今後はさらに強化していく方針だ。同社グループの元気寿司株式会社の海外店舗も約200店舗に拡大。寿司など日本食の普及にも力を入れていく。米や野菜の高い自給率を将来にわたって維持することが、同社の果たしていく大きなミッションだ。

会社案内

会社名 株式会社神明ホールディングス
設立 1950年
代表取締役社長 藤尾 益雄 
事業内容 株式会社神明(米の搗精、米糠・米油の製造、米穀及び食品の仕入・販売、米穀及び食品等の生産、加工、販売並びに輸出入等)をはじめ、青果、中食・外食企業などグループ全体の経営企画、経営管理及びそれに付帯又は関連する業務
本社 〒650-0023 兵庫県神戸市中央区栄町通6-1-21 神明ビル
電話番号 078-371-2131
ホームページ https://www.shinmei-holdings.co.jp
会社名 株式会社神明ホールディングス
ビジネス番組の先駆けとして、2004年に放送を開始。
出演企業は、1500人社以上にのぼります。株主、社員、顧客、学生など、ステークホルダーの共感者を増やし、経営の追い風となる役割を担ってきるビジネス情報番組です。